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2010年8月25日水曜日

知ってか知らずか・・・笑止千万

本日(8月25日)付の日経社会面に、 「命のビザ」で有名杉原千畝よりも2年前にユダヤ人を救った旧陸軍軍人の記事が出ていました。国連難民高等弁務官事務所からの情報だとのことです。

 「埋もれた救出劇 再評価の動き
  国連が紹介準備」

 昭和12年、シベリア鉄道経由で満州国に流れてきたユダヤ人難民を旧陸軍軍人が救ったというのがあらましです。この軍人は樋口季一郎、当時陸軍少将です。満州国ハルピンの特務機関長だった彼は、ソ満国境のオトポールで満州国に入国できずに困窮しているユダヤ人を救い、外国への移住の道を開いたのです。救った難民の数は5千人~2万人とも言われ、はっきりはしていないそうですが、新聞記者の不勉強でしょうね。樋口の名はイスラエル建国の父として、ゴールデンブックにその名を刻まれています。そのことは記事には出ていませんでした。

 さらに言うならば、この樋口の行動は当然軍上層部にも政府中央にも知られましたが、彼は処分は一切受けませんでした。ドイツから強硬な抗議があったのは言うまでもありません。既に日独伊防共協定は締結されていました。ドイツとの友好の維持は重要ではありました。それでもユダヤ人を救ったこの樋口の行動にお墨付きを与えたのは、満州国をその強い支配下に持つ日本の関東軍にあって、参謀長を務めていた東条英機です。東条はドイツからの強硬な抗議を「日本には『八紘一宇』の精神がある」と強硬に突っぱねたといいます。調べれば当然わかるこのことを知らずに記事にしたのか、もしくは知っていて東条英機は無視したのかよくわかりません。

 浅田二郎の新作「終らない夏」は、終戦3日後、8月18日に占守島(北方領土)の日本軍守備隊と、突然攻撃をしかけてきたソ連軍との死闘を小説にしたものらしいですが、この部隊の上級司令部の軍司令官がこの樋口季一郎でした。武装解除後、ソ連は樋口を戦犯として逮捕しようとします。多大な被害を受けた仕返しでしょう。しかし、ソ連のこの動きを察知し、世界中のロビイストを動員してアメリカに樋口逮捕の中止をソ連に働きかけるよう圧力を与えたのは、全米ユダヤ教会でした。彼らは樋口に救われた恩を返したわけです。

記事にいう「埋もれた」など、笑止千万!今ではWikiにも詳しく出ているですがね。

 正しく言えば「知られたくなかった」でしょうね。この記事を書いた記者氏は、「知られたくない」という日本悪玉論一辺倒の思潮をただ知らなかっただけだと思います。仮にも記者ならもっと勉強しなさい。

とはいえ、僕にとっては嬉しい記事でした。

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